2021年3月20日。曇り。
和庄児童公園にある呉空襲の供養地蔵尊に、有志が集まって防空壕の復元地図を奉納しました。コロナ禍の中で自由な動きが取れず「早く奉納したいね」、「いつ会えるかな」と何度話したことか。
そんな思いを様々に重ねながら、ようやく奉納ができてほっとした日です。
そもそも、和庄の防空壕の地図を修復するきっかけになったのは、「呉本」の著者丸古玲子さんの思いから。
1945年3月19日に呉に初めて空襲があり、1945年7月1日から7 月2日にかけての大空襲では、この公園の近くにある防空壕で多くの命が果てました。
呉の郷土史といまを取材をする中で、どなたかが記憶を元に描かれた防空壕の地図がボロボロになっている事に気づきました。
当時の悲惨さを伝える絵図を、「どうにか元の姿に修復できないだろうか」。
私たちもそんな思いに共感し、情報や昔の写真の提供を呼びかけたり探したり。水面下で連絡をやり取りしながら、加藤茂男さんが作業に当たってくれ、無事に修復ができました。
当日は呉空襲の様子を伝承するために制作された絵本「ふうちゃんのそら」を丸古さんが読み聞かせをしてくれました。
なんと、嬉しい事に”ふうちゃん”こと空襲体験者の中垰房子さん、絵本作家のよこみちけいこさん、呉かみしばいの関谷ひろみさんも出席。
復元された防空壕の地図を見て「わぁ。こんなにきれいになって!」と、ぱあっと顔を輝かせる中垰さん。
「こんな悲しいことは二度とあってはいけない。戦争の悲惨さや平和の大切さを子どもたちに伝えるためには、絵本や紙芝居が一番いいと思って作ったんよ。それが良いご縁で広がって行くのが有難いねぇ」
今後も #ふうちゃんのそら を語る時に防空壕の様子を具体的に伝えることのできる資料になりそうです。中垰さん、よこみちさん、丸古さん。それぞれが「伝える、表現する、繋ぐ」ために、うなされたり激やせするほどエネルギーを注いで懸命に伝えようとする思い。
その思いがここに集った人の心を震わせました。
私たちは、戦争や空襲を経験する事はできないけれど、想像することはできる。人を繋ぐ事はできる。未来に伝えることはできる。
目を背けず、史実と思いをリレーしなければ。
改めて伝える事の大切さ、ご縁に感謝する1日になりました。
*「KUREP+」に「ふうちゃんのそら」の絵本と紙芝居を託していただきました。 ぜひ、手にとって読んでくださいね。