ボンネットバス、呉の街を走る!

2021年5月4日。一年ぶりにボンネットバスが呉の街を走りました。

ある日、1968年式のボンネットバスが今も走れるように整備されており、ここ一年は広電バスの車庫で待機したままになっている、という話を聞きました。
「わぁ、懐かしい!中学生の頃に乗っていたバスだ!また乗ってみたいなぁ〜」そんなワクワクする気持ちが湧いてきました。

「よし!ボンネットバスを動かそう。あの可愛いバスが走ったら、呉の街が笑顔になるよね」、そう思い立ったのが4月のはじめ。(後でかなり無謀な計画だったと思い知る・・・)

はてさて、何から手をつけていいのか。
取り敢えず市役所の担当課を割り出し、問い合わせてみる。
やはり色々と手続きや許可を取る必要があり、それからあちこちの部署や関係者への問い合わせと連絡に追われる怒涛の日々が続くのでした。
ざっと、企画提案書、提出書類、プレリリースの制作。

運行関係者、ガイドさんとの打ち合わせ、運行ルートの選定。

参加募集と集客、イベントページの制作と管理、フライヤーとチケットのデザイン、電話やメール等の問い合わせ、参加者のリスト管理、安全対策、コロナ対策、クレーム対応、膨大な数のメールチェックと電話のやりとり。

全ての作業を進行させつつ、日々変わるかもしれない状況の相談と報告。

伸るか反るか。できるのか、できないのか。
「いや、出来る事は最善を尽くしてやるしかない!走らせます!」
午前中のバスガイドツアーは、コロナ禍ということも配慮し「くれ・ひと・まち情報応援団」の募集は広島県内の有料会員さんとその家族、と条件を絞った制限のある企画になりました。さらに、乗車する人の氏名、連絡先を事前に予約管理する。
とにかく、これまで沢山イベントをした中で一番頭から煙が出た…。

自分のキャパオーバー気味が続き、楽しい企画のはずなのに、途中「なんで言い出しちゃったんだろ…」ちょっぴり自分を責めるほど(笑)


それでも中国新聞さんに記事にしてもらったり。
様々な人の協力と応援をいただき、無事にバスを走らせることができました。

ようやく迎えたこの日。感無量!!

懐かしさの溢れる車内は木の床。

名物バスガイドの下中さん。
ガイド歴58年!現在はボランティアガイドとして活躍されています。「私も久しぶりにマイクを握るので嬉しい〜〜!」と張り切って下さいました。「呉市交通局」の旗と、下中さんの長年の思いが詰まった当時の制服とカバンも身につけて、颯爽とした姿です。側面の「IS682」Iはいすゞ、Sは小型、68は年度(昭和43年)の2号車だそうです。

海軍墓地、入船山記念館、アレイからすこじま、大和波止場などを案内してくれましたが、何を聞いても詳しい説明が返ってくるのは流石です。
「呉を大好きで、呉の事を知ってほしい」そんな思いが伝わってきます。
そして、行き先々で「下中さん、元気じゃった〜?」「久しぶりじゃね!」
あちこちから声がかかります。次から次へと出てくる淀みない説明により、また呉の知らない事を知り、発見がありました。歴史や小話、冗談などを交えつつ、あっという間の2時間。本当に素晴らしいガイドでした。
午後からは13時〜、14時〜出発の2便。
以前呉を観光名所を巡る「くれたん」バスのコースを走ってもらいました。
(新原市長も見送りに駆けつけてくれました)

ボンネットバスを見かけたら、手を振ってくれたり、カメラを向けて走ってくる人がいたり。みんなに愛されているボンネットバス。見かけたら、みんな笑顔になりますね。

「懐かしい!」「初めて乗りました」「いつか乗ってみたいと思ってたので嬉しい」乗車された方も喜んでいました。

広電バスの運転手の下垣内さん。
バスの整備や運行ルートの作成、高い運転技術でボンネットバスを動かしてくれました。「一年ぶりに人を乗せて、バスも喜んでいます。夢を与えるバスとして、これからも大切に整備します」と下垣内さん。
奥さんと子どもさんも、「お父さんがバスを運転する姿を見たい」と乗車してくれました。大きくなって思い出になる日になったらいいな。

後ろ姿。丸いお尻が何とも言えず可愛い。

思い立って1ヶ月足らずで実現させた、てんやわんやな企画でしたが、無事に終わって一安心。

みんながそれぞれボンネットバスに寄せる「想い」がバスを走らせました。
ビジネスやお金では替えられない、みんなのボンネットバスへの「想い」をひとつの形に出来て良かったです。
皆さん、有難うございました!

記事を制作した本日5月7日。
<速報>広島県は7日、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、8日から全県民へ外出機会の削減要請出ました・・・

ギリギリのタイミングで運行できたのだな、とこの幸運に驚きます。

「くれ・ひと・まち情報応援団」の主催するイベント参加の案内は、メールでお知らせしています。

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